毛髪のしくみ

毛髪は約10万本。1日に0.35mm（1ヶ月で約1ｃｍ）伸びています。
また、1日に抜ける本数は50～100本。
髪の毛は伸びて抜け、また新しく生えることを繰り返しています。これをヘアサイクルといいます。１本１本のヘアサイクルが異なるため、常時一定の毛髪が保たれています。
正常時の成長期は、2～6年で、毛母細胞の細胞分裂が盛んになりここで髪の毛が伸び始め、成長期に太くしっかりした毛（硬毛）となります。その後、毛母細胞が分裂を停止する退行期が２週間、次の毛の再生に備え毛包が休む休止期を迎えています。

AGAと間違えないで

表に示した通り、脱毛症にはさまざまなものがあります。AGA（エージーエー）は前頭部や頭頂部など限定した場所で起こる抜け毛やうす毛であり、ほかの脱毛症とは異なりますので、治療前に正確な診断を受けることがとても重要です。
さまざまな脱毛を熟知し、正確に見分ける専門的知識を持っているのは「皮膚科の医師」です。
まずは皮膚科を受診することをおすすめします。

脱毛症	症状	原因
男性型脱毛（AGA）	思春期以降に遺伝的背景を持ち出現。男性の前額部〜頭頂部。女性にもおこる。	遺伝、男性ホルモン。
円形脱毛症	頭髪に円形の脱毛を来す。広範に脱毛をきたすケースもある。	自己免疫機序による。
抜毛症	比較的境界明瞭な脱毛。不揃いな毛髪が残存する。	頭髪、眉毛など自分の毛を引き抜く事で生じる。発症の背景や誘因は年齢により異なる。
薬剤性脱毛	高度のびまん性脱毛	抗がん剤などで毛髪の成長が阻害される。その他の薬剤でも発症する事があり。
感染症による脱毛	境界不明瞭な不完全脱毛。	梅毒、真菌感染、細菌感染、ウィルス感染など。
腫瘍性脱毛	脱毛部は結節状に隆起し腫瘍を伴う。 転移性皮膚癌では固い事が多い。	生まれつきの母斑や様々な癌の皮膚転移など。
機械性（牽引性）脱毛	髪を長期にわたり牽引する事により 一定の部位の毛髪が薄くなる。	牽引、摩擦、圧迫（同じ髪型）
栄養、代謝障害による脱毛	頭髪、眉毛の脱落および皮膚、粘膜の びらん、亀裂。	亜鉛欠乏症、持続性の蛋白吸収障害など。
内分泌異常による脱毛	全体のびまん性脱毛。時に体毛も抜ける。	主に脳下垂体や甲状腺機能異常による。
分娩後脱毛	分娩2-4か月後におこるびまん性脱毛。 約半数の母親が自覚すると言われる。	妊娠による正常毛周期の乱れ。大部分は自然軽快する。
脂漏性脱毛	フケが増え、頭髪が炎症を起こし抜け毛が増える。	皮脂の分泌異常、マラセチア菌の感染、局所の炎症など。

男性ホルモンとはもともと骨格や筋肉を形成する働きのある男性が男性らしくあるためのホルモン。
循環血中では比較的活性の弱いテストステロンとして存在し、その一部は副腎由来であるが、90%以上は精巣のLeydig細胞で生合成されています。 テストステロンは脂溶性であるので自由に男性ホルモンの標的細胞膜を通過し、細胞質にある5α還元酵素により弱いホルモンであるテストステロンからより強力なジヒドロテストステロンに変換されます。 5α還元酵素はI型とII型が存在しI型はすべての細胞に存在するがII型は髭毛乳頭、前頭部毛乳頭、前立腺、精嚢、外陰部皮膚に限局しています。 髭や体毛を伸ばす働きがあり 頭髪においては反対に毛周期を短縮させ髪を細く、薄くする働きをします（前頭部〜頭頂部）。

AGA（エージーエー）とは、Androgenetic Alopeciaの略で「男性型脱毛症」の意味です。
成人男性によくみられる髪が薄くなる状態のことです。思春期以降に額の生え際や頭頂部の髪が、どちらか一方、または双方から薄くなっていきます。
一般的に遺伝や男性ホルモンの影響などが主な原因と考えられています。
抜け毛が進行し、うす毛が目立つようになります。

AGA（エージーエー）の人は全国で1,260万人*といわれ成人男性のおよそ3人に1人にあたります。
そのうち気にかけている人は800万人、何らかのケアを行ったことのある人は650万人といわれています。
AGA（エージーエー）は進行性です。3年、5年、10年と経過するうちに徐々に髪の毛が薄くなります。そして毛根が極度に委縮してしまうと、その毛根を再生させるのは困難になります。そのためAGA（エージーエー）は早めのケアが大切です。
（*板見　智：日本醫事新報　2004; No.4209: 27-29）

AGA（エージーエー）の脱毛部にはT（テストステロン）から産生された、男性ホルモンの一種であるＤＨＴ（ジヒドロテストステロン）が高濃度にみられ、これがヘアサイクルの成長期を短くする原因物質とされています。

AGA（エージーエー）ではヘアサイクルが短くなり、髪の毛が太く成長する前に抜け始めるため、細く短い髪の毛（軟毛）になります。この軟毛化した髪の毛が増えることで、全体としてうす毛が目立つようになるのです。

AGA（エージーエー）の特徴は、その脱毛の進行パターンにあります。額の生え際から後退していくタイプ、頭頂部から薄くなるタイプ、これらの混合タイプなどさまざまな脱毛の進行パターンがあります。
角額の後退が頭頂線（耳介の先端と頭頂部を結ぶ仮想のライン）の前方2cmに達すると男性型脱毛とされ、 日本人では前方2cmに達する前に頭頂部に脱毛が生じるタイプが多くみられます。

日本皮膚科学会男性型脱毛症治療ガイドラインにおける治療推奨度は下記の通りです。

治療法	推奨度	凡例 ●A:行うよう強く勧められる。 ●B:行うよう勧められる。 ●C1:行う事を考慮してもよいが十分な根拠がない。 ●C2:根拠がないので勧められない。 ●D:行わないよう勧められる。
ミノキシジル外用	A（男性は5%,女性は１％）
塩化カルプロニウム外用	C1
医薬部外品、化粧品の育毛剤外用	C1
フィナステリド内服	A（男性）　D（女性）
自毛植毛術	Ｂ
義髪	C1
人工毛植毛術	Ｄ
育毛サロン	Ｄ

当院では、内服薬のプロペシア（フィナステリド内服 ）を処方しています。

プロペシア（成分名：フィナステリド）は現在知られている男性型脱毛症(AGA)に対する育毛剤でもっとも有効率が高く、男性型脱毛症(AGA)の98％で抜け毛予防・はげ症状改善効果が認められ,78％で髪の毛が増えたと報告されています。
飲む育毛剤・プロペシアは病院でのみ処方できる医薬品です。副作用が非常に少なく、長期間飲んでも安全性の高い薬です。

プロペシアは世界初の飲む育毛剤として1997年にFDA(米の厚労省にあたる)に認可され、世界40カ国以上で承認され、男性型脱毛症(AGA)に対し処方され高い効果をあげてきました。
2005年に、遂に日本でも認可を受け、病院での処方が許可されました。

プロペシアは病院でのみ購入可能な医薬品です。購入には医師の診察・処方が必要です。

男性型脱毛症（AGA）は病気とみなされませんから、その治療薬であるプロペシアは保険は適用されません。

 

AGAは保険外診療なので予約が必要です。
皮膚科専用ダイヤルへお電話いただき（0957-62-2188）、 「AGA（エージーエー）の相談です」とお伝えください。
AGAの治療は保険外診療ですので、全額自費です。
しかし症状によっては保険診療での治療やアドバイスで対応できる場合もありますので、念のため健康保険証をご持参ください。
自由診療の場合は保険診療による費用は発生しません。
自由診療で、診察と説明のうえ、最終的にプロペシアを使用しない結論になった場合は、
診察料として「自費初診料2,000円」または「自費再診料1,000円（以前当院で自費治療を受けている場合）」を申し受けます。
プロペシアを処方する場合は薬代を含んだ診察料をいただきます。（診察料は下の表の通り）
2回目以降の処方の際も、必ず本人が来院し診察を受けるようお願いします。
薬剤の性質上診察なしの「薬のみ」の処方は行っていません。
初回の処方で問題がないことが分かった方には、最大84日の長期処方も可能です。
薬１錠あたりの費用負担も少し割安になるよう配慮しております。多忙な方はご検討ください。